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東京高等裁判所 昭和34年(く)135号 決定

少年 H(昭一八・一・一七生)

主文

本件抗告を棄却する。

理由

申立人の抗告理由の要旨は、「申立人は少年Hの父であつて、同少年は昭和三四年一一月二七日横浜家庭裁判所小田原支部で中等少年院に送致する旨の決定を受けたのであるが、その後面会したところ、今度こそ真面目になる、今迄のような悪いことは決してしないから是非家へ帰れるようにしてもらいたい、と申しており改心を誓つていた。

それで家族とも相談した上、少年院に送られると家族も世間に肩身が狭い思いをすることにもなるので、少年の身柄を引受け更生させるから、できることならもう一度家へ帰えしていただきたい。それができなければやむを得ないから一日も早く家へ帰えれるようにしていただきたい。」というのである。

よつて、本件保護事件記録(昭和三四年少第五八五号、同少第六六三号、同少第一〇四七号)及び調査記録を精査して見ると、少年は昭和三四年五月二六日横浜家庭裁判所小田原支部で、窃盗、暴行、恐喝保護事件により保護観察に付する処分を受け、その保護観察中毫も反省の色なく、本件1乃至5の非行を敢行し、同年七月二八日同裁判所支部で試験観察と併せて補導委託に付せられたのであるが、その間の成績必ずしも芳しからず同年九月一八日保護者の要望により補導委託を解くや間もなく更に本件67の非行に及んだもので、鑑別及び調査の結果に徴しても少年の非行が習慣化し、内省力に乏しく、更生意欲の見るべきものなく、もはや在宅処遇の段階ではなく、その性格を矯正する為には、同人を中等少年院に収容保護することが適切と認められ、所論のような事情を斟酌して見ても、少年を中等少年院に送致する旨を言渡した原決定に著しい不当な廉の認むべきものは少しもない。

よつて申立人の本件抗告は理由がないから、少年法第三三条第一項に則つてこれを棄却することとし、主文の通り決定する。

(裁判長判事 尾後貫荘太郎 判事 堀真道 判事 西村康長)

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